■飼育展示室 etc.
展示の裏側をのぞいてみよう!
飼育あっての生態展示
みなさんに昆虫と仲良しになってもらうために一番大切なことは、生きている昆虫にふれてもらうこと。でも、生きている昆虫を展示するのは、みなさんが考える以上にむずかしい作業です。
みなさんがいつ来ても昆虫に会えるようにするためには、ただ昆虫を飼っていればよいというわけではありません。昆虫には、卵・幼虫・さなぎ・成虫という時代があることは知っていますね?自然の中では、それぞれの時代は、とても限られた同じ時期に集中しています。たとえばギフチョウの卵を、ある期間続けて展示すようとする場合、外から採ってきたものでは、ほんの短い間しか展示できません。そこで、ギフチョウの飼育が必要になってくるのです。しかし、ただ飼育しているだけでは、自然のものとは少し時期が変わるだけで、飼育室内ではみんなそろってしまい、やはり長い間展示することはできません。
胎内昆虫の家では、さなぎをあるときは暖め、あるときは冷やして、また、光を当てる時間をのばしたり縮めたりしながら、ギフチョウの育つ速さを調節しています。このように成虫になる時期や、卵を生む時期をずらすことで、たくさんの人たちに観察してもらえるギフチョウの展示ができるのです。飼育展示室やその他のコーナーで展示している昆虫たちは、このように温度や光などいろいろな条件を調節して飼育されたものです。
飼育展示室
通路の右側には、おもにチョウの卵・幼虫・さなぎ・成虫を展示しています。左側には、そのほかの昆虫の成虫を展示しています。

ギフチョウのさなぎの期間は、10ヶ月以上もあります。この間に、成虫の体が作られるので、温度や湿度、光の調節が大切です。

枝や葉の上でさなぎになるチョウたちは、植物を植えた植木ばちごと、温度や湿度、光を当てる時間などを調節します。
標本は大切だけど・・・
標本は大切な資料であり、また、大切な展示物でもあります。その標本が貴重であるほど、展示する意味が大きくなります。しかし、どんな標本でも、展示している間に外から入ってくる光(紫外線)のために、だんだん色が変わってしまいます。言いかえると、展示することで標本がだめになってしまうのです。
昆虫の家はもちろん、ほかの博物館でも「標本は大切だけど、展示しないと意味がない。しかし、展示すると・・・」という答えのでない悩みがあります。
標本を大切にするために
胎内昆虫の家には、展示に使っていない標本をおさめる収蔵庫があります。実は、展示されている3倍もの標本が収蔵庫にしまってあるのです。この収蔵庫には紫外線がまったく入りません。そして、湿度は55%、温度はいつも一定に調節されています。
展示している標本は、次々と収蔵庫のものと取りかえ、紫外線にあたる時間をなるべく短くしています。それは、標本がだめになるまでの時間を少しでものばして、長持ちさせるためです。
展示ができまるまで
展示が決まり、実際に展示してみなさんに見てもらうまでには、いろいろな作業が必要です。
わかりやすくするために、実際の例をあげながら説明していきましよう。
たとえば「秋の鳴く虫展」の場合。
● 話し合って「秋の鳴く虫展」を開くことに決める。
● 標本、生きている幼虫と成虫、解説パネル、鳴き声など展示の内容と部屋の使い方を決める。
● 標本を調べ、足りないものは新しく標本を作る。
● 温度や光を当てる時間を調節して、いろいろな大きさの幼虫を飼育する。また、外から採集してくる。
● 解説パネル用に写真を撮影したり、集めたりする。また、本を調べて文を書く。
● 鳴く虫の声の録音テープをさがす。ない場合には新しく録音する。
● 今までの展示物をかたづけて、“秋の鳴く虫展”のかざりつけをする。
これでやっと展示ができあがります。
これは特別展の例ですが、昆虫の家では、飼育している昆虫の世話はもちろん、飼育する昆虫のえさになる植物の世話もします。また、展示用の昆虫を採集や、標本の補充・交換、昆虫の名前調べから、装置や器具の修理や調整はどなど…・‥さまざまな仕事が待っています。そしてみなさんに展示の内容や展示の仕方を説明するのも大切な、そして楽しい仕事です。私たちが毎日作り続けている展示を、じっくりと見ていってください。